2019年08月28日

第20回「耐震性能のコーディネート」

 6000人以上の方が亡くなった阪神淡路大震災から20年以上、15000人以上がなくなった東日本大震災からも8年が経過しており、その後も建物に被害を及ぼす様な規模の地震が日本各地で起こっています。
巷では建物は地震に強いものでなければならないとされていますが、最近の地震発生状況を考えれば、これを一歩推し進め、耐震リフォームや新築時には、個々の状況や必要に応じた「耐震性能のコーディネート」により、無駄なコストを省いたり、より高い安全性を手に入れることが必要です。ではそのポイントを見てみましょう。
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1) 耐震リフォームでのポイント  〜事前の耐震診断を必ずしましょう〜
とある資料では木造住宅の耐震リフォームに掛かる費用は概ね200万円以上となっています。高額ではありますが、建物の下敷きで多数の方が亡くなった神戸の地震を思えば決して無駄ではありません。
耐震リフォームを行う場合、確実に必要になるのが事前の「耐震診断」です。これをしないと耐震性能の不足の程度や必要な補強壁の量がわかりません。しかしながらいまだにろくな調査もせずに強度が上がるかもわからない金物の取り付けを迫る違法業者がいなくならないのが現状です。コストや耐震性能のデータを示した上で相談に乗ってくれる建築士や業者を選ぶことでバランスよくコーディネートをしてもらえるとともに、違法業者を排除することができるようになります。

2) 新築でのポイント  〜具体的な耐震性能と土地選びが重要〜
 現在の法律では大地震時には建物の倒壊さえ防げば大きな損傷はやむなしとの考え方になっています。しかし住み続けるためには大きな損傷は極力減らさなければなりません。木造住宅の場合、耐力壁の量を割り増すこと(たとえば1.5倍やそれ以上に割り増す等)で耐震性能が高まり、大地震時の損傷を減らすことが出来ます。こういった事柄を相談に乗ってくれる建築士をパートナーにして耐震性能のコーディネートをしましょう。
また、地震による地盤の液状化は建物を転倒させた事もある怖い現象です。杭や地盤改良などの対策が有効とされていますが、埋立地などでは数百万もの費用が掛かったり、ひどい場合は固い地盤の深さが深すぎて施工不能な場合も有ります。逆に良好な地盤の土地を選べばこのような費用は要らないので、余分なお金を使わずに建物を建てることができます。なお、東海・東南海地震での予測震度や液状化予測などのハザードマップが名古屋市のHPなどで公表されていますので、土地選びの参考にしましょう。
(名古屋市ハザードマップアドレスhttp://www.city.nagoya.jp/bosaikikikanri/page/0000057008.html
posted by 住まいづくりの会 at 16:46| 欠陥住宅の話

第19回「住宅の地盤について」

〜最悪の事態をまねく前に!〜
1、昔と今の住宅の土地事情
今の建物の基礎は昔の建物の基礎に比べて強固にできているのに、なぜか建物の沈下等の問題が多発しています。建物の沈下が問題なのは、単に建物の安全の問題だけではありません。地盤の上のことなら壁をめくって補修は可能ですが、基礎は補修するのに多大な費用がかかり、場合によっては建て替えなければならないことにもなりかねません。
昔は建物を建てる場合、適した場所にしか建てませんでした。しかし、今は、人口増加や都市部への人口集中、また、それに伴う土地価格の上昇などによって住宅用の土地が取得しにくくなり、田んぼや池を埋め立てたり、山を切土・盛土をして平らに造成して宅地を増やすことになりました。
その中で一番危険なのが盛土の土地です。地盤は長い年月を経て締め固まってゆきますが、最近盛土したような土地は閉め固まっておらず、その上に安易に家を建てると沈下してしまいます。
2、法律は住宅の地盤と基礎についてどのように規定しているか
  以前の法律は、「地盤の沈下や変形に対して安全なもの」としか規定されておらず、漠然としたものでした。しかし、平成12年に建築基準法が改正され、地盤の硬さにより基礎の形式が規定されました、それによると「1uにつき20kN(キロニュートン)以下の場合は杭打ちとし、20kNから30kNの場合は杭打ち、若しくはべた基礎、30kN以上の場合は杭打ち、べた基礎、若しくは布基礎としなければならない。」と規定されました。また、この規定により、地盤調査によって地盤の固さを測定する必要が発生し、地盤調査することが必須となりました。
しかし、この基準はあくまで最低基準であって、この基準を守れば絶対に建物が沈下しないというものではありません。仮に、「建築基準を守っているので安全です。」などという業者さんがいたら気を付けなければなりません。
3、地盤調査の方法
  ハウスメーカー等で多用されているのがSWS試験(スウェーデン式サウンディング試験)です。利点は安価でおこなえることです。しかし、地中の石などに当たった場合はそこで止まってしまい、実際より高い数値がでてしまいますし、それ以下の部分の調査ができません。また、地質や地下水位が分からず、液状化現象の危険性を見逃す可能性があります。確実な方法としては標準貫入試験(ボーリング試験)を用いることです。この方法は正確な数値が得られますし、地下水位も分かり、標本もとれますので地質も確認できます。
4、傾斜地の危険性
  傾斜地や、もともと傾斜地であったところを造成した土地の場合、下の方の地盤は硬くても大雨や地震のときに地すべりの危険があります。事前に十分な調査と対処が必要です。
5、砂質地盤の危険性
  地盤もただ硬ければ良いということではありません。砂質地盤で、且つ、地下水位が高い土地は地震のときに液状化の恐れがあります。ですから、先に述べたように地質も、地下水位も確認できる標準貫入試験が重要となるのです。名古屋市などは液状化しやすい土地を地図化(液状化マップ)していますので、少なくともそれは確認しなければなりません。また、最近ではインターネットで古地図なども見られますので、昔はどのような土地であったか確認するのも良いでしょう。
posted by 住まいづくりの会 at 16:42| 欠陥住宅の話

2018年01月24日

第16回「いい家づくりは、建築士探しから。」

「いよいよ我が家もマイホーム!」と思ったときに、初めて建築士という職業を知る人もいらっしゃるのではないでしょうか?ひとえに建築士と言っても、いろんな方がいます。ハウスメーカーや工務店で営業などに従事している人や、工事に関わっている人もたくさん。でも、住まいをはじめ建物の設計を行えるのは、登録を受けた建築士事務所に所属している建築士だけなんです。これはしっかりと法律で決められています。だからといって、図面を書いて設計するだけが建築士の仕事ではありません。設計以外で代表的なものは“工事監理”です。「監理」とは見慣れない言葉だと思います。こちらを簡単に説明すると、建築士の描いた図面通りに工事が進められているか現場をチェックすることです。もし間違っていた場合、修正の指示は建築士からしかできません。欠陥住宅では寸法が違っていたり、コストダウンのために材料を安いものに換えていたりしますが、こうしたことが起こるのも「監理」を怠っているから。家は一生に一度の買い物です。信頼できる建築士を見つけることが、安心で満足できる家づくりの第一歩です。
posted by 住まいづくりの会 at 17:19| 欠陥住宅の話

2015年11月11日

第13回「耐震改修工事のはなし」

昭和56年以前に着工された木造住宅は無料耐震診断の対象となっており、診断を受けた方は相当数いて、かなり高い確率で耐震改修の必要ありと出ます。では耐震改修工事はとなると、例えば助成金を得て耐震改修工事をする方は診断した中のせいぜい1割という所です。耐震改修工事が進まない理由に
・ 工事費用の問題
・ 効果への疑問
・ 年齢的な問題、面倒である 

などが挙げられます。

・ 工事費用の問題
診断結果を見て改修工事をさあ、やるぞ!と意気込んだものの、見積もりを取ってみて『工事費が300万円掛かりますね』などと言われたらその時点で気持ちがしぼんでしまう人もいるでしょう。そこで家中全てを完璧に補強するのではなく、例えば寝室など日常的に最も滞在時間の長い部分のみの改修工事に留めておくことができるならば費用もかなり抑えられるのではないでしょうか。(実際の補強箇所等については建築士に耐震補強計画を立ててもらう事になります)
大地震が来ても何とかその部分だけ持ち堪える事が出来れば揺れが収まってから外に逃げ出すこともできます。(補強は庭や道路に通じる部分も必要です)後日の建物改修は困難でしょうが少なくとも命だけは助かる可能性が高くなります。
また、耐震改修をすると自治体から助成金が下りる場合もあります。名古屋市では耐震評点1.0以上(1.0以上が合格ライン)に耐震性を上げれば最大90万円迄助成されますが、完璧な改修でなくても評点0.7以上であれば最大40万円助成されます。詳しくは当会へ是非ご相談ください。

・ 効果への疑問
耐震リフォーム詐欺に遭うと効果のある補強になっていない場合がほとんどです。信頼のおける設計事務所に耐震補強計画や工事監理を依頼されたほうが費用対効果は見込めます。

・ 年齢的な問題、面倒である
自動車保険や生命保険にはかなりの金額を掛けても、近いうちに来るであろう地震(南海トラフ巨大地震は今後30年以内に70%の確率で来ると言われています)については思考停止してしまう方もいます。車の事故と同じで万が一の時、建物が倒壊したら自分だけの問題ではなくなります。ご自身のお年から長くは住まないと考えていても子供やお孫さん達が来ている時に地震が発生したら・・倒壊した自分の家が道路を塞いで近隣の方たちの避難や救助活動を阻害することになったら・・等々、結果としてたくさんの人に迷惑をかけてしまうという事なども時には考える必要があります。
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大破の方が倒壊するよりはるかに命は助かりやすい
posted by 住まいづくりの会 at 17:20| 欠陥住宅の話

2015年09月24日

第12回「富士ハウス 経営破綻の後始末」

今回は大手ハウスメーカー「富士ハウス」の経営破たんのお話です。
2015年1月20日富士ハウスの破産をめぐる被害者との訴訟で、高裁判決が確定しました。
原告団127人のうち33人に限って元社長に賠償を命じるというものです。
最初の静岡地裁判決では原告団127人全員の請求通りの金額が認められたにもかかわらず、これを不服として行われた控訴審で、127人中94人が賠償を受けられなくなるというものだったのです。
賠償を受けるか受けられないかの分かれ目は、社長が破産を知る前の契約か、それとも破産を知った後の契約かというタイミングでの振り分けのようです。
富士ハウスの経営破綻は、
・2009年1月29日東京地方裁判所に破産手続開始の申立
・同日午後6時に同裁判所から破産手続開始決定
という経緯ですが、それに先立つ2週間前
2009年1月15日メーンバンクである静岡銀行が支援打ち切りを宣言しています。
東京高裁は、元社長が自社の破産を認識したのは、銀行支援打ち切り時点だとして1月15日以前に契約した94人に対しては倍賞の請求を認めないと判断していました。
富士ハウスの倒産は民事再生法や会社更生法ではなく、事業の再生を目的としない破産法による手続きだったので、被害者にとっては青天の霹靂だったことでしょう。
また、完成保証制度を利用していなかったため、未完成物件への対応がすんなり引き継がれなかった点も 当時大きく取り上げられました。
更に「着工前に工事費の7割を振り込んでいただければ大幅値引きします」などの言葉を信じて振り込んだが着工直前に倒産され、引き渡しを受けられないという、泣くに泣けない被害者がたくさん出たことから、会社ぐるみの詐欺ではないかとも疑われました。
それほどまでにこの契約条件は社会的にありえないものだったのです。

その後、富士ハウスの残務を引き受けたのは、「らいずほーむ」という会社です。
この会社も2014年5月に倒産しています。わずか5年の運営でした。
結果的に事業を立て直すこともできず、富士ハウスと同様にたくさんの被害者を生み出してしまったようです。

住宅に関わる業者の中には、かくもいいかげんな人もいるのかと暗澹たる気持ちになります。
しかしながらそのような悪徳業者であると誰でもが簡単に見破ることは容易ではありません。今回のような詐欺まがいの手口には簡単に乗らないように気を付けましょう。また、少しでも不安に思うような契約なら、是非当会の建築士にご相談ください。
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posted by 住まいづくりの会 at 15:54| 欠陥住宅の話

2015年04月22日

第11回「わが家もいよいよ夢のマイホームを!の前にA」

前回は家を建てる時の選択肢の内、「ハウスメーカー」の特徴について考えてみましたが、今回は「建売住宅」・「工務店の設計施工」・「設計事務所」の三つについて考えてみましょう。

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建売住宅の場合も、実物を見てから購入できるといった利点があります。しかし、建ってしまっている故の欠点もあります。基礎は適正なのか、耐震性能は充分か、構造材はどのようなものを使っているのかなどがかくれてしまって何もわかりません。見えないことをいいことに粗悪な建物が多いのも実状です。 また、「他のお客さんが契約を希望されています」などとせかされて、冷静な判断ができない場合もあります。
A 工務店の設計施工の場合
工務店の場合、知人やその紹介などによるケースが多いようです。しかし、設計は自社ではできないので他の設計事務所に依頼するという場合が多く、役所への申請業務だけで、充分な打ち合わせや詳細な図面を書くこと、現場監理などは十分におこなわれないために、建築主の要望を取り入れた満足できる家とはなかなかなりません。
したがって、工務店を無条件で信用することになり、その工務店の技量や工事費の比較もできず、「これで精一杯です」 と言われれば、その価格で契約するしかないので、一般的に高くなる傾向にあります。
B 設計事務所の場合
設計事務所は、ハウスメーカーや工務店と違い、唯一建築主の代行者として仕事をおこないます。打合せ時間を充分にとり、構造、仕上げ等細部にわたって建築主の希望を具体化してゆきます。また、設計事務所に依頼した場合、工務店の選択は基本的に数社による競争入札になります。したがって、他の方法にくらべて安く建築することができます。それで設計料等が充分おぎなえるのです。
工事についても、施工は適正であるか、また図面の指示どおりの工事がおこなわれているかなどを常に現場でチェックしますので、一番安心な方法といえます。
しかし、たまに「デザインばかり重視して、こちらの要望をあまり聞いてくれなかった」などと聞くこともあります。設計事務所ならすべて良いというわけではなく、自分達の希望どおりにやってくれるのか確認した上で選定することも大変重要です。
posted by 住まいづくりの会 at 16:37| 欠陥住宅の話

2010年10月18日

外壁が屋根より出てる!?

欠陥調査をしていると、とんでもない事例にあたります。
調査の依頼内容は「屋根と外壁のリフォームを行ったが、屋根よりも外壁の方が飛び出している。このような家は見たことがないが、これで良いものですか?」というものでした。
屋根の方が外壁より出ているのが当たり前ですよね?
結果、この家は雨水が外壁の上部から壁内にいくらでも漏れる構造でした。しかし、これだけにとどまりませんでした。
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posted by 住まいづくりの会 at 20:54| 欠陥住宅の話